[∈]財務レバレッジを教えるか?自己資本比率を教えるか?(HECで学ぶ③)

MBAが始まってあっという間に約1ヶ月、さて。

授業が開始した。

中でも、Decision Making の科目としてあった、Negosim という授業が最初の数週間のハイライトであった。これは簡単に言えば、グループ間で競うビジネスシミュレーションゲームだ。

1つのUniverse(ゲームの世界)に、5つの国(正確にはその国に属する企業)、10のチームが割り当てられる。日本、ドイツ、マレーシア、アメリカ、ポルトガルが各2チームずつだ。

国毎にチームの初期ステータスが違う(逆に国が同じであれば初期ステータスは同じ)。各チームはその国にある製造業の企業を経営する。

細かいパラメータを話すと切りがないのだが、大まかに言うと5要素を考える必要がある。そしてその5要素によって各国ステータスの優位性が違うのだ。

●キャッシュ

●製造コスト

●マーケットサイズ

●市場の品質要求

●各市場での売上(利益)

ざっくりいうと、米国・ドイツ・日本の先進国は「市場サイズ・初期売上でかめ/製造コスト高め/キャッシュ潤沢」で、ポルトガル・マレーシアの発展国は「市場サイズ・初期売上小さめ/製造コスト安め/キャッシュなし」といった具合である。

ここに新規事業への投資などの要素が加わり、最終的にはどういったロジックで計算されるのか非公開のPrice to Book Ratio (Market Price to Book Value)が勝手に計算され、各ラウンドでそれによって順位づけされる。製造拠点を移転するには、JV をその国でつくる必要があり、その条件(製造量の配分など)は他チームと交渉可能である。

大まかな正解の戦略は、

●先進国側は「自国の工場を畳んで労働コストの安い発展国への製造拠点移転に投資」し、「Profitable な自国市場をできる限り守りながら、違う市場に進出していく」

●発展国側は「先進国側からの投資(JV設立)をできるだけ良い条件で受け入れ」、「安い製造コストを活かしたプライシングで、先進国市場を低価格で攻め込む」

●両側ともに品質には投資をしていく(市場全体の品質要求度は上がっていく)

となっている。

醍醐味は、チーム間の交渉と多岐にわたるパラメータ管理なのだが、個人的に面白かったのは、キャッシュがショートしても、Overdraft として銀行から一定額は借りることができ、むしろ借金をしまくっているチームのほうが、Book Ratio で上に行くようになっているところだ。

マインドとして、

「借りれる金はどんどん借りていけ」

ということなのだ。これは非常に勉強になった。

ゲームの画面に意識すべきパラメータとして表示されているのは、総資本/自己資本=「財務レバレッジ」だ。

通常、日本で財務分析や会計を習うときに教わるのは、自己資本/総資本=「自己資本比率」だ。ここには、「借金を借り過ぎないように安全性を測ろう」という意図が多分に反映されている。

一方で、HECでまず教えたのは、「いかに借金を投資に回して事業をレバレッジするか」である。

日本では、「無借金経営」が美徳とされるようなマインドが未だに残る一方で、欧米のビジネススクールではこう教えるのか、というのは印象的だった。

折しも今、世界でお金を集めまくって投資しているのは、孫正義という日本人経営者ではあるが、日本企業のROA/ROEの数値が未だに世界水準に達しないのは、こうした教育マインドにも一因があるのではないか、と思った。

 

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