[∈]人と物。


 

◇愛用していたAppleのEarpods が壊れました。
まだまだケーブルも小奇麗で現役バリバリだったのに、ジャックとケーブルの付け根が陥没してしまいました。しょうがないので、次のを買います。

物が壊れたとき・使えなくなったとき、「あぁ、よく使ったなぁ、今までありがとう」という感情を抱く”大往生”パターンと、「まだまだ使えると思ってたのに。また買うか」という”残念”パターンがありますよね。時には、新しい代替品を買ってみたら古いものが壊れ、「こいつ嫉妬したな」なんてパターンもあるかもしれません。

大往生パターンと残念パターンでは、その「物」に対する扱いが違うことを意識してみる。。と、往生した物に対して抱く「ありがとう」という感情は、その「物」が物質としての存在を超えて、感情を受け取る存在になった証拠です。一方で、残念パターンでは、すぐに次のを買うか、となる。英語で言えば、”MY ○○” と”that” の違いでしょうか。大量生産物の1個という存在を超えられるかどうか、という壁があります。

どこにその壁が生まれるかというと、その「物」と一緒に過ごした時間、引いて言えば「ストーリー」だと思うのですよね。現代人は、1日に最も接する機会が多い携帯電話に装飾を施し、”MY Phone”を作る。それだけで、1つの市場が生まれるって、よくよく考えると凄いですよね。「物」がいつその壁を超えることができるのかというのは、個人や文脈によって異なってくるのでしょう。

 

◇物やサービスが大量に生産され飽和した環境において、売れていくのは「ストーリー」を生み出す物やサービスなんだろうなぁと思うんです。そして、みんなちょっとずつ、それに気付き始めています。やっぱり、「会えるアイドル」が好きで、自分とあの娘には、TV画面で眺めるだけの芸能人とは違う「ストーリー」があるんです。

「経験をお金で買う時代」とか「共感の時代」と言ってしまうのは簡単ですが、そう単純ではないと思うんですよね。「会えるアイドル」が48人いる意味を考えても、「人と物」、「人とサービス」がどんなストーリーを紡ぐことができるか、という視点がこれから凄く大事なんじゃないかなぁと思うのです。

今まで人から物やサービスへの思いって、一方的な片思いじゃなかったですかね。そこでは、「ブランド」という、何とも不思議な感情の偶像が助けてくれた。あの会社なら自分の望む物を作ってくれる、あの製品なら自分の望みを理解してくれる、だから買う。

でも、クラウドファンディングや3Dプリンタ等の生産技術のコモディティ化によって、実は、ちょっとずつ人と物の距離が近づきつつあります。製品化・サービス化される前に「応援する」っていう概念が生まれたんです。

 

◇両思いまで、もうちょっとなんじゃないかと考えてます。彼女が一生懸命、彼氏を思って作ったクッキーは、もちろん素晴らしいんだけど、彼女と、不器用な彼氏が一緒に料理を作る関係になったら、もっと良いものができそうな気がするんです。そのとき、完璧な料理でもいいんだけど、ちょっと形が崩れちゃってるけど美味しいとか、きっとそのぐらいの物が嬉しいですよね。

そして、人と物・人とサービスが、幼馴染で両思い、そして結婚しちゃうみたいな関係になろうとするとき、これまで必死に「お見合い」方式でその関係を作ってきた広告というものの在り方もまた変わっていくんだろうなぁ、と思うわけです。

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