[∈]【書評】ウェブとはすなわち現実世界の地図である


 

あっついですね、さて。
さくっと新書を読みました。著者は、コバヘンこと小林弘人氏。Geek向け雑誌の草分けである「WIRED」日本版の編集長で、現在は(株)インフォバーン代表として「ギズモード」「ライフハッカー」等の運営者として有名。日本でWebメディアを語る上で外せないであろう人物です。

 

目次

第1章 ウェブ2.0以降の世界はこう変わった
第2章 「シェア」が生み出す新しい資本主義
第3章 なぜ日本企業は「オープン」に対応できないのか
第4章 「ウェブをコピーした社会」が向かう未来
第5章 常識の通じない時代を生き抜く「7つの視座」

レビュー

本書は、これまで散らばっていたコバヘンさんのメディア論を1冊に凝縮したような1冊。キーワードは、「社会はウェブをコピーする」。通常ウェブ(インターネット)は、セカンドライフに見られたように、現実世界をコピーしていく、といった至極まっとうな文脈で、その進化を語っていけそうだが、コバヘン氏は逆の視点から、進化するウェブ論を展開していきます。

つまり、これからは、ウェブが社会を反映していくのではなく、社会がウェブを反映していくという立場。最初に、未来図はウェブにあると言われても、「ピン」と来ないかもしれません。最後まで来ない人もいるかもしれない。

一方で、じわじわと例示されるテクノロジーと人間の関係性を考察するに、徐々に読者は気づくことでしょう。SNSやウェアラブルコンピューティング、Internet of Things 等の発達で、人間中心主義は、どんどんと顕在化する。結局のところ、テクノロジーとは、人間と人間、そして人間と機械を繋ぐものといえば、収まりが良いのかもしれません。ウェブというテクノロジーも同様に、例えば、TwitterやYoutube等で顕在化したこれまでは注目もされなかった人のタレントが現実世界に活かされていく。ウェブが生み出し続ける評価経済の仕組みが、貨幣経済に苦しむ現実世界の課題を解決する基盤となることもある。

MIT メディアラボ研究所創設者でもある、ニコラス・ネグロポンテはかつて、従来、有線固定網の利用が中心であった電話・インターネット等は無線網に切り替わり、一方で従来は無線網の利用が中心であったテレビ等が光ファイバー等の有線固定網に切り替わることを主張し、それは”ネグロポンテ・スイッチ”と呼ばれました。

本書は、従来、現実世界を模倣してきたウェブが、これから逆に現実世界のコピー元となる、という意味で、”コバヘン・スイッチ”とでも呼ばれるべきメッセージなのかもしれません。

私の一文

パーソナルコンピュータやスマートフォンが個人を拡張するツールであるなら、インターネットは集団を拡張する。そこで拡張されたのは、じつは私たち自身なのだ。私はテクノロジー主義者ではない。社会がウェブの力を使いこなせるのかどうかということは、私たちが自分の力をどう使うのかということと同義なのである。

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