[∈]【書評】SHARED VISION


 

4:00 ぐらいからのW杯を録画して早朝に見るのが結構いい感じです、さて。

最近、読んだのは電通でコミュニケーション領域のプランナーをされている廣田周作さんの著書。こんな感じのご経歴。広告代理店におけるソーシャルメディアの最前線を期待して読んでみました。

目次

第1章 ソーシャルメディアが変えたこと
第2章 生活者と企業をつなぐためのプロセス
第3章 カンバセーションをマネジメントする
第4章 伝えることとつなげること ―個をつなぐ場としてのメディアの役割
第5章 個と組織のこれから ―シェアードヴィジョンが新しい羅針盤に

レビュー

語り口はいかにも代理店のプランナー的で、最初、読み始めを後悔しました。「読まなくてもいい本だったかな」、と。ただし、下の図を見て、「あ、これはなかなかいい本になるな」と思いを改めました。本書は、情報大洪水時代において、コミュニケーションをデザインするアプローチとして、「社員も、生活者も含めて、皆で目指す理想の姿=ヴィジョン」=”シェアードヴィジョン” をデザインするところから始まる、としています。

 

SHARED VISION

画像引用:『SHARED VISION』(P.53)

 

ちゃんと、社員が入ってる!

今までって、経営者(っていうか製品やサービス)と生活者だけしかいなかったから、広告代理店って大雑把だったんですよ。僕の親が広告代理店だったんですが、

「このブランドを押し出すために、TVCMで◯億円、どーんって使って、その後、だいたいこの層に挿すために、こんな雑誌があるんで、ぐあーっとこのぐらいの予算使ってみて、◯◯週間ぐらい広告出稿すれば、だいたい街中でも話題になるくらいブランド認知進みますので」

こんな、長嶋監督みたいな会話をクライアントと繰り広げていました(一部誇張ありますがマジでこんな感じ)。この段階では、経営者の矢印が生活者に直接伸びている感じ。これが第1段階。

インターネットの登場、そしてWeb2.0 あたりで、経営者と生活者がようやく双方向の矢印で結ばれるようになった。これが第2段階。

そして、本書の主題と言っていいでしょう、ソーシャルメディアの台頭ですね。これで本書を扱うテーマに追いつきました、第3段階。

第3段階には、アクターがもう1人いなくてはいけません。図には社員と書いていますけど、僕はもう少し平たく、作り手と言っていいんじゃないかと。

以前にこんなエントリを書きましたが、

[∈]人と物。

結局、情報の非対称性がなくなると同時に、作り手の思いがしっかり伝わらないと生活者に買ってもらえなくなったので、それにはまず作り手の思いを伝えること、もっと言うと、そもそもコンテンツ(製品やサービス)に思いがこもっているんだっけっていうところから、生活者と共有しなきゃいけないですよね、というお話。

例えば、世間的に「売れている!」というメッセージをだしたとしても、こんなことを言われたりします。品薄で売れている、だから、美味しい、買ってみようというような単純な構図にならない。下手すると、「仕掛け」や「企み」を疑われてしまう。品薄商法とか言われるんですよ…。

日清【トムヤムクンヌードル】想定外の売れ過ぎ?品薄商法?発売10日で異例の販売停止 – NAVER まとめ

同じころ、子どもたちに大人気で、妖怪ウォッチも超品薄だったと思うんですが、妖怪ウォッチはそんなこと言う人はいない。コンテンツがしっかり子どもの心をがっちり掴んでいるから…。

言うは易く行なうは難し、で、そもそも作り手とそれを宣伝広報する部署や人が、廣田さんが相手をする大企業なんかは分かれちゃっているから、難しいなぁと思うんです。本書に出てくる、テレビ新広島という局の広報プロジェクトはとても良い例で、大きな知名度も予算もない局で、廣田さんがプライマリなKPIに設定してもらうよう提案したのは、PVでもFacebookページいいね!数でもなく、「打ち合わせ時にメンバーが笑う回数」だったそうです。

まずは作り手が楽しまないと、それは生活者にも伝わらないということでしょうが、廣田さんの言葉で言えば、

 

ソーシャルメディアは運用担当者たちや社内の雰囲気が如実に出るものなので、まずはPRチームにいつも笑いが溢れていることが重要なのです。(中略)笑顔つなぎ隊(注:組織横断的に立ち上げたPRチームの名前)なのだから、打ち合わせに笑顔がどれだけあるか、そこが運用上一番重要なのです。(P.161)

 

嫌々やってる企業のオウンドメディアや、ソーシャルメディアページなんて、まぁ絶対に見たくないですよね。それが伝わるからそれをKPIにする、というのは、流石コミュニケーションデザインの専門家だなぁと勉強になりました。きっと、辺りを見渡すと、「やらされていた」ソーシャルメディアの運用や、「作らされた」企画があちこちに転がっているはずです。

私の一文

ソーシャルメディアというと、いかにも新しいテクノロジーが出てきて、コミュニケーションの質自体も大きく変わっているように見えますが、テクノロジーが変化を起こせば起こすほど、本来、コミュニケーションにとって大切なもの、人間が古くから大切にしてきたもの、普遍的なことがあらためて顕在化しているのだと思います。(P.186)

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