[∈]【書評】戦略の本質


 

要約から。
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戦略は業務改善ではない。ポジショニングという考え方が、すぐ真似されていく机上のものとされるのは問題である。その本質は、戦略と「業務効果」を区別していないことにある。業務効果は必要条件だが十分条件ではなく、かつて生産性の限界線(ベスト・プラクティス)を達成することで得た、高品質と低コストを武器にした日本企業の成功は、決して戦略の勝利ではなく、業務効果の賜物である。

 

戦略ポジショニングは三種類に分けられる。これらは相互排他的ではなく、重なる場合が多い。
1. バラエティ・ベースポジショニング
ー>顧客セグメントではなく、様々な種類の製品やサービスから選択し、それに基づいてポジショニングする。

2. ニーズ・ベースポジショニング
ー>ニーズが異なる顧客セグメントに対応していくことで、ポジショニングする。

3. アクセス。ベースポジショニング
ー>アクセスの方法の違いによって顧客をセグメンテーションすることを基礎としたポジショニング。

戦略は、独自性と価値の高いポジションを創造することであり、ポジションには活動の違いが伴う。企業に求められることはポジションを発見し、これを最初に手に入れることである。

では、どうポジションを発見すればいいのか。それは、「何をやり、何をやらないのか」という選択が全てである。

ポジショニングのトレード・オフは競争にはつきものであり、そして戦略の本質なのである。戦略とは、競争においてトレード・オフをつくることであり、企業の活動間の適合性を作り出すことである。
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「戦略を語る上で、必ずポーターの考えに立ち戻れ」とは、自分の先生である伊藤先生の言葉でした。
競争戦略、引いてはFive Forces のフレームワークが有名だが、ポーターの集大成はむしろ、
「競争の戦略」よりも本論文に詰まっているのではないかと思います。

「競争の戦略」で1979年のマッキンゼー賞を受賞してから、20年弱、
ポーターは再び『戦略の本質』で1996年のマッキンゼー賞を受賞しました。
冒頭から述べられるのは、高品質と低コストを達成し、1980年から1990年にかけて市場を席巻した日本企業は、
「戦略の勝利ではない」という喝破です。

「日本企業は、高品質と低コストというトレード・オフを達成して戦略的ポジションを築いたではないか」という挑戦状に、
彼は、「戦略は業務改善ではない。生産性の限界線に達すれば、必ずトレード・オフに悩まされることになる。
そこが曖昧である限り、日本企業に戦略はない。」と反論しました。

彼の言う通り、2011年、日本企業、特に日本産業の代表であった電機メーカー等は
中国や韓国、台湾といった企業の台頭によるコスト競争と、サービスモデルへの転換が
必要である先進国での付加価値競争に窮しています。

本質は、常にシンプルです。

戦略の本質とは、「何をやり、何をやらないか」という選択である。

競争を無意味にし、新たな市場を創造せよという「ブルーオーシャン戦略」の誕生は、
2005年にINSEADの2人が発刊するまで待たなければいけないが、
基本の大原則は、既にポーターが1996年に完成させていたと言っていいでしょう。

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