[∈]【書評】コンピュータが仕事を奪う


 

ずいぶんとご無沙汰のエントリになってしまい、Blogをサボっていたことがバレバレである。
もう少し書評をシンプルに書いていきたい。ということで、
去年の夏前ぐらいに読んだ本からぼちぼちBlog復帰させていきあす…。

著者は、国立情報学研究所の新井紀子氏。
Twitter: @noricoco
ご専門は数理論理学、情報科学、数学教育だそう。
学部は法学部ご出身で、教育をご専門に持つだけあり、文章からも、非常に論理的かつ「数学って聞いただけでサブイボ出る」自分のような人間でも、読める文体で好感が持てた。

実際にご自身も「私自身、中学や高校のころは、数学ができる人を自分とは頭の構造が違うのだろうと思っていました」と語っており、そういった「痛み」が分かる人なのではないか(笑)

さて、本書の目的は「はじめに」に以下のように書いてある。

本書では、具体的に、一体どのような知的活動がコンピュータに取って代わられるのか、
あるいは取って代わられないのか、それを計算機と数学の理論から迫っていきたいと思います。

 

生粋の文系人間にとって最も楽しいのは、具体例を豊富にした第2章でした。
そこでは、人間とコンピュータの境界があいまいになる具体例を出す一方で、コンピュータの限界へも示唆している。
キーワードは、知能と学習。
例えば、次の画像を見たとき、人は海の前に立つ白い塔をどう認知するか?

そう、灯台。
でも、コンピュータには、これは、#ffffffの(X, Y)の位置にあるピクセルの集合体と感知する。コンピュータには、「意味」を考える機能がないからですが、それをセマンティックギャップと呼ぶらしいです。逆に灯台の建物が、砂漠にあったら、白い塔であって「灯台」とは呼ばない。建物と背景の文脈が白い塔を「灯台」たらしめている。それを認識できない限り、コンピュータは人間の目にはなりえないわけで。

ただ、人工知能へのアプローチは変わってきた。いくら灯台のカタチをプログラムで表現させようとしても無理であるならば、コンピュータにたくさんの灯台の画像をタグで覚えさせて、それを「灯台と呼ぶ」と人間が教えてやれば、そのうち、それがコンピュータが「灯台」を認識することになるのではないかという帰納的アプローチを取るようになる。

最も分かりやすい例が、Google翻訳。ユーザーが正しい訳をGoogle先生に教えてやればやるほど、Google先生はその訳を反映させて次回から出すように「学習する」。それは、赤ん坊が経験を経て、言葉を覚えるのと同じように。
(コンピュータは、何万回、何億回と言われないとそう認識させる必要があるから、赤ん坊より面倒かも:P )

そうすると、データを入れて「教える」単純作業をやるのが人間で、「学ぶ」のはコンピュータという一種、逆説的な現象が生まれていくかもしれないというのが筆者の指摘である。(実際には、それは「クラウドソーシング」という群衆1人1人の仕事になることが多そうだけれど。

コンピュータが得意なことと苦手なことを認識することが大事だ、ということが本書の重要な指摘である。

コンピュータは知識を蓄積したり、手順通りの作業をしたり、大量データから傾向を掴みとることが得意です。(中略)一方で、脳の働きのうち論理と言語を駆使して高度に施工し表現する仕事は苦手です。(P.190)

上述のように、コンピュータが人間を「使う」ようなことが実際に起きている。データ入力作業なんてのは最たるものだと思うが、
そのときに、人間がコンピュータを使う側に回るには、以下のことが大事だと思う。

要は、21世紀においてコンピュータを使いこなすとは、「思い」をプログラミングに落とし込める能力だということです。(P.58)
科学技術とビジネスとの間のコミュニケーション・ギャップを埋める時間をいかに短くするか、そこがまさに21世紀の経済の主戦場になることでしょう(P.60)

 

21世紀よりちょっと前、1998年に設立されたGoogleは「世界のあらゆる情報を整理し、アクセスしやすくする」という「思い」を「ページランク」というアルゴリズムに落とし込んだ。

その後、彼らが解き放ったコンピュータ・パワーの活躍はみんなが毎日お世話になっている。色んなことが数字で可視化・分析されるなか、著者が話す「第二言語として数学が話せる能力」がより必要になってきている。みんな、ビッグデータ、ビッグデータって言ってるのは、そういうことの1つかな。

ところで、また長くなっちゃったなぁ

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