[∈]『創発する社会』第二章 要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第25弾。

 

【要約】 

創発は、「自律した個」が「つながり」の中で相互作用を起こすことで、結果として予期せぬアウトカム(結果)が起こり、そのアウトカムが個にフィードバックされるプロセスを想定している。創発とは、この「創発プロセスの中で生まれる新たな価値である」と定義でき、そのプロセスには4つの要素がある。

まず、創発現象の基本的な単位は「自律した個」である。それは外部から統制されることなく内発的に行動を律する“個”という意味だ。次に、そういった個と個の「つながり」が創出されることで新たな相互作用が始まる。その結果として、ネットワークの価値を生み出す現象こそ創発であり、その際に生み出される価値は偶発的に発生される。その「予期しないアウトカム」を機動的に価値に転換するメカニズムを構築することでビジネス化は可能である。創発の結果生まれたアウトカムは個にフィードバックされて、新たな創発が生み出される初期条件となっていく。その意味で、創発が想定しているのはシステムが常に不安定で新たな状態に変化していく動的なモデルである。

創発を個の「つながり」の中から生まれるものという認識に至ったとき、創発の空間づくりは「価値を生むつながり」を生み出す空間の設計であると位置づけられる。創発空間の基本構造として、汎用性の高いインフラストラクチャによって、低コストで多様なコンテキスト(つながりのルール)を設定することが可能となり、それが様々な相互作用を媒介することによって新たな結合と創発が生まれるというシナリオが想定される。

インフラストラクチャに関しては、汎用性の高さが多様なコンテキストを低コストで展開できる基盤を提供し、それが豊かな創発空間を構築する可能性を生み出す。つながりは、一定の縛り=コンテキストが存在するときの方が、ないときよりも生じやすいというのが、「創発を誘発する空間設計」が可能であると考える最大の前提条件である。

コンテキスト(制約条件)という共通の意味解釈フレームワークを与えることによって、ルールや文脈が理解可能になる。また、異なるコンテキストに上にいる主体にコンテキストにまたがってつながる機能を持たせることによって、制約が持つ閉塞の危険を避けつつ、つながりを促す効果を活かしていける。

創発を誘発するコンテキスト設計の方法論についてはまだ統合フレームワークがない。創発空間のビジネスモデル作りは一つの課題である。創発が生み出す価値をどのように捕捉し、必要な設備やソフトウェア開発に還元するかという課題をうまく解決することが、実際の創発空間を構築するうえで重要なポイントになるだろう。また創発の価値を最大化するメカニズムを解明し、さらに、その価値をビジネスとして回収できる提案ができたら、知の生産活動は大いに活性化する。そんなインセンティブ構造も包含した創発空間の設計を行っていきたい。

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