[∈]『日本の企業システム』第九章 要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第24弾。

第9章の要約となります。
【要約】

情報ネットワークの力を発揮させるため、「オープン・アーキテクチャ戦略」の普及が広がっている。オープン・アーキテクチャ戦略とは、本来複雑な機能を持つ製品やビジネスプロセスを、ある設計思想に基づいて独立性の高い単位に分解し、モジュール間を社会的に共有されたオープンなインターフェースでつなぐことによって汎用性を持たせ、多様な主体が発信する情報を結合させて価値の増大を図る企業戦略のことである。

情報ネットワークの発展に付随する現象における共通の要因としては、3点説明できる。1点目は、機械系システムと人間系システムの処理能力向上のアンバランス(情報過多)
である。認知やコミュニケーション能力、信頼などが希少資源化し、それらの節約と人間の生産性の最大化への工夫が図られるようになった。認知限界を突破するために、システムはモジュール化し、分散的な協働によって互いに結合し新しい価値を生み出す。
2点目は、ネットワーク普及による情報の非対称性の構造変化である。これまで情報を十分に得られなかった消費者がインターネット等の普及により多くの情報を獲得し、時に非対称性は逆転する。企業は消費者側の立場で顧客情報を持つことが競争優位となる。また、顧客が発信する情報をどのように吸い上げ価値形成にするかが鍵となる。
3点目は、情報の低変動費コスト構造特性の表面化である。情報は0と1でデジタル化し、変動費は0に近づいた。物財と大きく異なるコスト構造は、市場原理を貫徹する世界と従来の価格メカニズムの機能しない世界という、真逆の世界が同時に発展していることを認識させる。

これら3つの要因を織り込んだオープン・アーキテクチャ戦略とはどのようなものであるか。筆者は3つの注目すべきアクターを分析する。1つは購買代理店である。顧客に情報が大量かつ多様に届き、また顧客同士が情報を交換する時代において、特定の企業に所属せず顧客のニーズに合わせて商品を探す購買代理店の役割が増す。また、従来メーカーと称してきた生産者たちを筆者は「要素提供者」と「パッケージャ」に分ける。要素提供者は特定の分野に経営資源を投入し高い技術でシェアを狙う。パッケージャは明確な商品コンセプトをもとに要素提供者の技術を統合する役割を担う。供給側のパッケージャと需要側の購買代理店、どちらが主導権を握るかはモジュール化のレベルによって異なるが、この2者は共に多様な情報の結合を主たる付加価値とする「統合ビジネス」である。

日本はオープン・アーキテクチャ型ビジネス・モデルでも力を発揮できるだろう。「情報を結合する」、「ユーザ型の視点を取り込む」、といった要因を日本企業は満たしているからである。ネットワーク化を大いなるチャンスと捉え、日本の持つ強みがネットワークによって増幅され、生活者には優しく、経済に活力のある社会を作ることができると筆者は信じている。

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