[∈]『グランズウェル』要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第22弾。

【要約】

グランズウェル(大きなうねり)とは社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達するようになっていることを指す。重要なのはテクノロジーではない。ネット上での人々の行動が根底から変わろうとしていることだ。2000年に比べると、人々がつながり、助け合うスピードは間違いなく加速している。だからこそ今グランズウェルを理解することが求められている。
グランズウェルは「3つの力」の衝突から生まれた。それは人間、テクノロジー、そして経済学だ。これらの3つのトレンド―繋がりたいという人間の欲求、新しい双方向テクノロジー、ネットの経済学―が新しい時代の扉を開いた。急速に拡大しているグランズウェルという現象は猛スピードで進化しており、企業の戦略責任者にとてつもなく大きな課題を突きつけている。
グランズウェルは、ブログ、CGM、SNS、ウィキ、オープンソースといったテクノロジーから起こる。それは組織にとって脅威になることもあるが、逆に連携することはもちろん、大きな利益を生み出すことさえできる。グランズウェルのテクノロジーを理解することは大切だが、それは本質ではない。第一にテクノロジーはすぐに変わる。第二に、重要なのはテクノロジーではなくそこで働いている力だ。優れた柔術家は防御の技法や投げ技だけではなく体が動く仕組みを理解している。つまり企業は、グランズウェル的思考を持ち、グランズウェルの感覚を磨く必要がある。グランズウェルでは関係がすべてだ。人と人がつながりコミュニティをつくる。その形が、力のバランスを変えていく。そこに焦点をあわせるべきなのだ。
グランズウェルを深く理解するためには、グランズウェルのメンバーをいくつかのグループに分解し、それぞれを突き動かしているものを分析する必要がある。人間を十把一絡げに扱う戦略は必ず失敗する。人間は同じではないし、同じように反応するわけでもない。戦略を立てるときは、グループ間の違いを明らかにすることが大事だ。例えば、韓国人にとってのグランズウェルとカナダ人にとってのグランズウェルはどう違うのか?といった具合に、である。

そこで、本書では、「ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール」という手法を紹介する。この手法は、グランズウェルの住人を、どんな活動に参加しているかをもとに、創造者、批評者、収集者、加入者、観察者、不参加者という6つのグループに分ける。企業は標的顧客がグランズウェルとどう関わっているのかを分析し、その知識をもとに戦略を立てなければいけないのである。
グランズウェル戦略の成否は目的地、つまりグランズウェルに参加する理由にかかっている。上手くいくグランズウェル戦略の多くは、次の5つのいずれかを目的に掲げている。この中から、自社に最も適したものをグランズウェル戦略に採用すべきだ。

■耳を傾ける(傾聴戦略):リサーチのため、あるいは顧客理解を深めるためにグランズウェルを使う。顧客インサイトをマーケティングや開発に利用したいと考えているならこの目的が最も適している。

■話をする(会話戦略):自社のメッセージを広めるためにグランズウェルを使う。既にバナー広告、検索広告、電子メール等のデジタルマーケティングは活用しているが、もっと双方向的な手段を利用したい場合は、この目的が適している。

■活気づける(活性化戦略):熱心な顧客を見つけ、彼らの影響力(クチコミの力)を最大化するためにグランズウェルを使う。熱烈なファンがいるブランドに適している。

■支援する(支援戦略):グランズウェル的なツールを用意し、顧客が助け合えるようにする。サポートコストが高く、かつ顧客がお互いに親近感をいだいているような企業に適している。

■統合する(統合戦略):顧客をビジネスプロセスに統合する。例えば、製品の設計プロセスに顧客の声を取り入れる。この目的は難易度が高いので、他の4つのいずれかを達成してから選択することが望ましい。

グランズウェル戦略のポイントは、自分たちが構築しようとしている関係に焦点をあわせることだ。その際に、以下のようなアドバイスが有用だろう。
□小さく始める(拡大の余地は見込む)
□グランズウェル戦略がもたらす影響を考え抜く
□高い地位にいる人物を責任者に据える
□テクノロジーの選択とパートナー企業の選択を慎重に行う

グランズウェルに関与するメリットは、組織の意識が変わることだ。顧客との距離が縮まり、人々の欲求や要求を肌で感じられるようになるだろう。そのためには、まずグランズウェルを理解している少数の一部社員から組織全体に拡大していくことが必要である。実践を段階的に進め、それを次につなげ、幹部の支持を取り付ける。企業は、社内グランズウェルの構築が重要になってくる。
グランズウェルのテクノロジーは爆発的に増加している。これらテクノロジーは安価で、ネット広告経済との親和性も高く、「つながりたい」という人間の本能を刺激して人と人を結んでいる。いずれは、コンピュータだけでなく全ての活動にグランズウェルが遍在するだろう。グランズウェル活動に参加していない企業はすぐに「時代遅れ」になる。グランズウェル的思考の下に、適切なアプローチをしていかなければならない。グランズウェル的思考の本質とは、「適切な態度を身につけること」に他ならない。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

コメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.

トラックバック・ピンバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL