[∈]『制度・制度変化・経済成果』第一部 要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第18弾。

第1部の要約となります。

 

【要約】

制度は社会におけるゲームのルールである。社会において制度は、人々の相互作用に対する安定した(しかし必ずしも効率的ではない)構造を確立することによって不確実性を減少させる。制度の理論を構築する際、ルール分析とプレイヤー戦略を区別する。どのようにして我々はいく時代にもわたり根本的に異なる諸経済の成果を説明できるのか。その答えは、制度と組織の相違、制度変化の方向を形作る制度と組織との相互作用に依存する。本書は、制度の存在と性質、経済的(あるいは社会的)成果にとっての制度の諸帰結を検討する。

新古典派理論に欠如しているものは、人間の調整と協力の性質に関する理解であった。新古典派理論は、取引からの利益は取引費用ゼロで実現される完全情報の世界である(取引費用は、交換されるものの有用な属性を測定する費用、権利を保護し契約を監視・執行する費用からなる)。しかし、コースの取引費用ゼロの条件は、個々人が不完全な情報のもとで主観的な誤ったモデルで行動していること、情報のフィードバックはこれを修正するのに不十分なことから、現実には難しい。経済理論を再構成するために重要なメッセージは、取引には費用がかかり、そのとき制度が問題になるということだ。

個人は主観的に選択し、行為者が受け取る情報は不完全だ。行為者の行動における修正を理解するときにのみ、我々は制度の存在と構造の意味を理解でき制度変化の方向を説明できる。新古典派理論の基礎となる期待効用理論に由来する行動パターンよりもより複雑な行動パターンを理解する鍵は情報処理である。制度は人間の情報処理の必然的な拡張であり、制度が減らす不確実性は、人間の相互作用のプロセスにおいて他者の行動についての不十分な情報から生ずる。情報に費用がかかるということが取引費用の鍵となるのである。交換される各単位の個別属性のレベルを確認する情報費用が取引費用の基礎になる(そこには情報の非対称性が存在する)。制度は取引費用と交換費用を決める交換のための構造を提供するのである。同時に、筆者は制度が効率的であるという見解を放棄する。

制度のモデルを展開するためにはインフォーマルな制約、フォーマルなルール、及び執行とそれらが発展する様式の構造的特徴を十分に考察しなければならない。インフォーマルな制約は、情報、監視、執行の費用を引き下げるフォーマルなルールの補佐を受けて、より複雑な交換に対する可能な解となる。

個々人の機会集合を定義する制度的制約は、フォーマルな制約とインフォーマルな制約との複合体であり、結局それは測定と執行の費用を表す。取引費用はこの複合体を反映する最も観察しやすい要素である。制度的制約は様々な状況における選択集合を様々な結びつきで形成する相互連結された網を形成する。その理解は、制度の発生や安定性、選択の限界点の理解に役立つ。しかし、本書のもっとも重要な教訓は、制度的枠組みが経済の成果に主要な役割を果たすということである。

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