[∈]『経営者の役割』 要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第17弾。

第二部の要約となります。

 

【要約】

本書は、具体的な社会過程としての公式組織について論及するものである。公式組織とは、意識的で、計画的で、目的を持つような人々相互間の協働である。組織の存続は、物理的、生物的、社会な素材、要素、諸力からなる環境が不断に変動する中で複雑な性格の均衡をいかに維持するかにかかっている。このためには組織に内的な諸過程の再調整が必要であり、本書の主たる関心はその調整が達成される過程である。

組織の研究をするにあたって、「個人」に関する基本的な立場や理解、公準を明確にすべきである。「個人」は、物的要因と生物的要因からなり、継続性と適応力を持つ。また他の人間と関連を持たずしては機能せず、その相互反応は適応的行動の意図と意味に対する一連の応答である。人間には選択力があり、物的、生物的、社会的諸力等の様々な要因はそれを狭めると同時に、人間はそれら諸力の合成物である。

協働を複数人の活動の機能的と考える場合、人間を2つの側面から捉えなければいけない。1つは、協働体系の参加者としての人間を非人格化し、社会化する。もう1つは、人間は協働体系の外として限られた選択力を持つ。これら側面は対立するものではなく、併存するものである。協働に加わる人々の動機は、社会的もしくは物的(生理的)な目的に条件付けられており、協働や組織は経験、観察されるように、対立する事実の具体的な統合物であり、人間の対立する思考や感情の具体的統合物である。管理者の機能は具体的行動において矛盾する諸力の統合を促進し、関連する要素を調整することである。

個人には目的があり、制約があるからこそ、その目的を達成し、制約を克服するために協働が生ずる。目的達成の制約は個人の生物的力と環境の物的要因の結合からなる。協働は、集団の力が個人の力以上に拡張され、他の利益を相殺しない人力の結合が好ましく行われるケースでのみ有効である。
協働体系は次のごとく分類される。消費財を獲得する活動、消費財を分配する活動、協同的設備を獲得する活動、運転資本を獲得する活動である。
一方、環境の諸条件は共同行為に関する環境の制約を絶えず変更し続ける。協働体系の適応は種々なタイプの組織的活動の均衡を保たしめる適応であり、協働を維持することを専門とする活動の側面が発展する。このような適応過程がマネジメント・プロセスであり、その専門機関が管理者と管理組織である。同時にこれらは協働の制約となる。

協働の永続性は協働の有効性と能率という2つの条件に依存する。協働体系の運営にかかる努力は、物的要因、生物的要因、社会的要因への働きかけに向けられ、その結果としては、個人の同期の直接的満足か、協働の促進のいずれかである。
我々は個人と協働体系に関する社会的要因に留意しなければいけない。それらは、協働体系内の個人間の相互作用、個人と集団間の相互作用、協働的影響力の対象としての個人、社会的目的と協働の有効性、個人的動機と協働の能率の5つである。

協働体系とは、少なくとも一つの明確な目的のために二人以上の人々が協働することによって、特殊の体系的関係にある物的、生物的、個人的、社会的構成要素の複合体である。協働体系を有効に研究するために、それらが持つ斉一性、つまり全てに共通な特定の側面を他のものから引き離して、その性格を明らかにすることが必要である。
具体的な協働状況における多様性は、次の四つの事情から生ずる。
(a)物的環境という側面に関する差異
(b)社会的環境という側面に関する差異
(c)個人に関する差異
(d)その他の変数

それら協働における多様性を排し、協働体系の経験を分析するための有効な概念として、公式組織は「二人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系」と定義する。このような組織の概念は、指導者や管理者の行動のうちに内在し、様々な協働的事業における彼らの行動に見られる斉一性を説明するものであり、それを明確に定式化して展開すれば、様々な分野の経験を共通な言葉に翻訳し、活用することができる。

我々が組織と名付ける体系を、一つの体系たらしめるものは様々な人間の努力が調整されるからであり、よって組織活動の重要な諸側面は非人格的なものである。体系は、各部分が他のすべての部分とある重要な方法で関連を持つがゆえに全体として扱われる。その意味で、ある部分と他の部分に変化が起こる場合にはその体系に変化が起こる。協働的努力の体系すなわち組織(全体)を社会的創造物、「生き物」とみなし、組織を構成する諸努力(部分)の合計とは異なるものとみなす。

組織の成立要素は、(1)伝達(2)貢献意欲、(3)共通目的である。組織の成立には、三要素のその時の外部事情に適した結合が必要である。組織の構造、広さ、範囲は伝達技術によって決定される。また、組織の存続は、有効性と能率が必要であり、これらを含む均衡を維持しうるか否かにかかっている。継続的組織は新しい目的を繰り返し採用し、体系の均衡を維持するに足るだけの有効な誘因を提供すること(=能率)が必要である。

組織というものを構造的見地から観察すると、協働体系である組織はその下位に別の組織を構築する。複合組織は、組織を従属させ、その組織の目的や運営を制約する。それは単位組織の規模に、相互伝達の必要性から、制約があるためである。
組織の発生起源を考えると、以下の四つに大別される。
(a) 自然発生
(b) ある個人の組織しようとする努力の直接的な結果
(c) 既存の親組織から派生した子組織
(d) 分裂、反逆、外力の干渉によって既存組織から分離したもの

複合的組織は全て小さい単純組織から成長する。既存の単位組織の結合、新たな単位組織とそれと既存組織の結合以外に公式組織の成長はない。
前述の公式組織とは別に非公式組織が存在する。非公式組織とは、個人的な接触や相互作用の総合、及び公式組織の支配とは別の集団の連結を意味する。非公式組織は、一定の態度、理解、慣習などを確立し、公式組織の発生条件を創造する。公式組織は、非公式組織から発生する一方で、それ自身が非公式組織を生み出す。それは、非公式組織が伝達、凝集、個人の全人生保全の手段として公式組織の運営に必要であるからである。個人の本質的欲求は社会的結合であり、この欲求が個人間における局地的活動、直接的相互作用を生み出すのである。

管理職能は協働努力の体系を維持する作用をする。それは非人格的である。管理職能は、第一に伝達体系を提供し、第二に不可欠な努力の確保を促進し、第三に目的を定式化し、規定することである。
管理組織の第一の中心的課題は、管理職員と管理職位という二つの側面を結合するということである。いずれの側面も交互に管理問題の戦略的要因となる。管理者の伝達職能の中には、必要欠くべからざる伝達手段としての非公式管理組織を維持することも含まれている。
管理組織の第二の課題である、組織を構成する個人的活動の確保を促進することは、組織に人を引き寄せ、彼ら(支持者)から質的・量的に優れた努力を引き出すことである。

第三の課題である目的の定式化と規定は、広く分散した職能であり、より一般的な部分だけが管理者職能である。そこに、下層の人々に重要決定を教え込み、常に結束を保ち究極の細部決定をその線にそわしめる必要性と、上層の人々が、遊離しがちな末端後継者の具体的状況並びに特殊決定を常に理解する必要性が存在する。

管理過程において全体という観点から考慮されなければならない二つの要因は行為の有効性と能率である。全体という観点が常に支配的であるのは、能率(それには結局のところ有効性が含まれる)との関連においてである。組織は協働的な人間活動の体系であって、その機能は、効用の創造・変形・交換である。その見地からすれば、協働体系には(a)物的経済(b)社会的経済(c)個人的経済(d)組織の経済という四種の異なる経済が存在する。これらの経済のどの見地からでも協働体系の状態を分析することができる。組織の経済の均衡に必要なことは、効用を十分に支配し、交換し、それにより組織を構成する個人的活動を支配し、交換しうるようにすることである。この経済のただひとつの尺度は組織の存続である。協働の成果は結果による以外判明しない。組織の能率は、組織周辺での収支の細部に渡る統制と組織に内的な生産的要因たる調整という二つの統制から生じている。

協働の成果は全体としての組織の成果ではあるが、リーダーシップは協働諸力に不可欠な起爆剤である。リーダーシップには体力や知力といった客観的な個人的優越性の側面と、決断力や精神力といった主観的な個人的優越性の側面がある。管理職位には複雑な道徳性と高い責任能力、活動状態、道徳的要因として対応した一般的・特殊的な技術的能力、他の人々のために道徳を創造する能力が要求される。管理責任とは、主としてリーダーの外部から生ずる態度、理想、希望を反映しつつ人々の意思を結合して人々の直接目的やその時代を超える目的を果たさせるよう自らを駆り立てるリーダーの能力である。リーダーシップの質、その影響力の永続性、その関連する組織の持続性、それによって刺激される調整力など、これらすべてが道徳的豊富の高さと道徳的基盤の広さを表す。共同する人々の間では目に見えるものが、目に見えないものによって動かされる。無から人々の目的を形成する精神が生ずるのである。

 

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