[∈]『システムの科学』第1章/第5章要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第16弾。

第1章と第5章の要約です。

【要約】

本書は、人工的な物体と現象に関する知識の体系である「人工」科学という概念を探るものである。人工物を自然物から区別する特徴として次の4点が挙げられる。
(1) 人工物は人間によって合成される
(2) 人工物は、外見上は自然物を模倣していても自然物の実質を欠いている
(3) 人工物はその機能、目標、適応によって特徴づけることができる
(4) 人工物は(特にそれが設計されるとき)記述法のみならず命令法で議論される

自然科学は、人工物自体の構造及び人工物が機能する環境において関わりを持つ。例えば、時計は内部構造とおかれる場所によって時を告げるかどうか決まる。人工物それ自体の中身と組織である「内部」環境と人工物が機能する環境である「外部」環境の両者の接合点(接面)として人工物を見ることができる。どちらか一方の環境がもう一方の環境に適合すれば、人工物はその意図された目的に役立つ。内部環境と外部環境の区別によって、システムの目標と外部環境の知識があれば内部環境について最小限の仮定を置くだけでシステムの行動を予測することが可能になる。システムが目標や適応を達成するかどうかは外部環境のごく少数の特性で決まる。人工物を内部環境と外部環境の接面から述べることは発明とデザイン活動の主要な目的である。

人工的対象物は、外部システムに本物と同じ外観を呈することによって、本物と同じ目標について外的な課題の比較可能の範囲に適応することによって、本物を模倣する。現在では、模倣は「シミュレーション」と呼ばれ、環境をテストすることで模倣システムの理解が試みられている。それは内部環境の知識が不十分でも有効である。それは各レベルにおけるシステムの行動を決めるものが、その下部レベルにおけるごく近似的で、単純化された、抽象化された特性だけだからだ。構成要素自体は一定レベルの低い信頼性しか持たず、ある特定の方法で相互作用する。自然法則を支配するミクロ理論は全く必要ないかもしれない。

コンピュータは記号システムと呼ばれる人工物の中の重要なメンバーだ。記号構造によって、環境をモデル化し、理論化することが可能となる。記号システムは従来のプラトニックな世界から経験的な世界へと移転し、経験的世界で機械や頭脳及びその協働によって作用する。知能とは、記号システムの働きに他ならないという仮説を筆者は打ち立てる。

人工物に関心を持つ人々の固有の研究領域は、環境に手段を適合させる方法であり、その中心問題はデザイン過程それ自体である。現実世界の問題解決システムやデザイン手続きは単に構成諸要素から問題の解を集めるだけでなく、それらの適当な組み合わせを探索する。デザイン過程は代替案の生成を含む過程であり、代替案を一連の諸要求や諸制約に照らして検証する作業である。
人間というものは比較的単純であり、その複雑な行動の多くは環境及びデザイン探索の努力から生じる。そうであるならば、人間固有の研究領域は人間そのものよりも、デザインの科学に他ならないだろう。

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