[∈]『人間機械論』要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第12弾。

本書は、I〜III章までの要約となります。
【要約】

19世紀末まで君臨したニュートン力学は、万事が精密に法則通りに起こる宇宙を記述したが、ギッブズは事物の不確定性と偶然性を考慮に入れた科学的方法を示し、エントロピー増大の法則を基にニュートン力学から自己の力学を離脱させた。エントロピーとはある一つの集合に属する諸世界についての問いに対して我々が与えうる答えがより大きな集合に属する諸世界に当てはまる確率の測度であり、その増大につれて、あらゆる閉じた物質系は確率が小さな状態から大きな状態へ、すなわち組織性と分化性をもち区別と形態が存在する状態から、混沌とした一様な状態へと変化していく。本書は、ギッブズの見解が近代生活へ与えた衝撃を、それが現実の科学にもたらした具体的な変化と、世界全般に対するわれわれの態度に間接的にもたらした変化との両面にわたって論ずるものである。

「サイバネティックス」という通報についての広大な理論の目的は、制御と通信の問題一般の解明を可能にする言語と技術の開発だけでなく、それら問題の個々の具体的な場合をある種の概念のもとに分類できる一連の適当な思想と技術を見出すことである。

人間の社会生活の要素であり、人間の内的生活の本質的な要素をなす制御と通信において、我々は常にエントロピー増大の法則と闘っている。それは、また機械にも同じことが言える。人間、そして機械はフィードバックを通じてエントロピーを制御し減少させようとしている。フィードバックとは、あるシステムがすでに遂行した仕事の結果をそのシステムに再挿入することによって一つのシステムを制御する方法である。また、仕事の結果から送り返される情報が仕事の一般方式と仕事遂行のパターンとを変更することができるものであるならば、その過程を学習と呼ぶ。人間と機械は、情報を外界から低エネルギーで集め、それを行動に役立てるための感覚受容器を備え、外界の情報は、この特殊な装置の内部の変換機構を通じて取り入れられる。こうして情報が、行動後の団塊の遂行に利用できる新しい形に変えられ、遂行行動を外界に対して効果的のものにさせる。行動のこのような複合は、個体の物理的反応だけでなく社会そのものの有機的反応の分析にも活用でき、社会という構成体を結びつけるセグメントとして重要である。

しかし、このような莫大な学習能力を持つ人間は、現実には権力者によって機械化されている。ファシストはアリをモデルに人間国家を作ろうとする。これは、非常に簡単なことだが、経済学的には人間の持つ大きな価値の浪費と冒涜であり、人間の本性の格下げであり、人類の今後長期にわたる存続への細き道の廃棄である。筆者は、本書を、人間の非人間的な利用(inhuman use of human beings)に対する抗議に捧げる。

 

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