[∈]『オープン・アーキテクチャ戦略』要約


 

「学部生時代の勉強を遺そう」第11弾。

 

 

【要約】

本書の目的は、ネットワーク上に分散して存在する情報をいかに結合して価値を増大させることができるか、ネットワーク上での組織化の方法論について探ることである。情報ネットワークの力を発揮させるため、企業戦略として「オープン・アーキテクチャ戦略」の普及が広がっている。オープン・アーキテクチャ戦略とは、本来複雑な機能を持つ製品やビジネスプロセスを、ある設計思想に基づいて独立性の高い単位に分解し、モジュール間を社会的に共有されたオープンなインターフェースでつなぐことによって汎用性を持たせ、多様な主体が発信する情報を結合させて価値の増大を図る企業戦略のことである。

オープン・アーキテクチャ戦略が拡大する要因としては、3点説明できる。1点目は、機械系システムが能力を向上させる一方で、人間には認知限界があるという点だ。認知やコミュニケーション能力、信頼という希少資源の節約と人間の生産性の最大化への工夫が上記戦略の優位性を生み出している。2点目は、情報の非対称性の逆転現象である。これまで情報を十分に得られなかった消費者がインターネット等の普及により多くの情報を得るようになった。これにより、企業は消費者側の立場で顧客情報を持つことが競争優位になる。3点目は、情報の非物財的な特性の表面化である。情報は媒体の制約から解放され、0と1のデジタル情報として送れるようになり、変動費が0に近づいた。この構造は、オープン・アーキテクチャ戦略を有利にしていく。

情報ネットワークが発展する中で、情報過多と人間の認知限界により、情報の編集という作業が重要になる。これをビジネスモデル化するのが顧客の代わりに情報を収集し、評価し、顧客のニーズに合わせた形に加工して提示する購買代理業者だ。彼らに求められるのは、顧客のプライバシーを保護し信頼を得ることである。また、ネットワーク時代では、顧客は単なる消費者から積極的な価値の生産者に変化している。自ら情報を発信し、交換する顧客が増え、顧客インタラクションが活発になる。口コミや相互扶助を行い、協働構造(コミュニティ)を作る顧客は価値生産への参加者である。このインタラクションを喚起してその価値を内部化させることが、オープン・アーキテクチャ戦略の力の源泉となる。

情報の結合を行う上で、仲介者が重要な役割を果たす。筆者は、連携の媒介となるこの役割をビジネス上で担う存在として「プラットフォーム・ビジネス」という概念を提示し、ネットワーク上で取引が存在するための、①取引相手の探索、②信用(情報)の提供、③経済価値評価、④標準取引手順、⑤物流などの諸機能の統合の5つの機能を提供するものと規定する。彼らは、「信頼」と「ことば」を提供する存在としても重要であり、地理的・時間的制約を超える電子商取引などにおいて、果す役割は大きい。

 

 

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

コメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.

トラックバック・ピンバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL