[∈]【書評】35歳までに読むキャリアの教科書


 

著者は、MyNewsJapanという企業の実情を伝えるメディアを運営する渡邉正裕氏。

帯のコピーが秀逸。
「バカじゃない、でもやる気が出ない人へ」

これは最近僕が接したコピーの中でも最も印象深いコピーかもしれない。
コピーって、専門に勉強したこともないし、イメージでしかないけれど、
「万人を対象として、いかに個に突き刺せるか(アピールできるか)」
っていうことが命題なんだと思っている。

本書のメッセージは、以下に収斂されるんじゃないかと思う、

①動機=Want=やりたいこと(夢・欲求)
②能力=Can=できること(知識・技術)
③現実の仕事=Must=やらなきゃいけないこと(仕事内容)

①と②の円環が交わるところに現実の仕事内容があるように人々は職を移していく。
この3つを合致させ、その面積を拡大していくことこそが幸せなキャリアの目標だ。

 

本書では、上記内容にそって人々が、自分の①と②を近づけようと奮闘するケースが紹介されていく。これが非常に説得力がある。

特に、

人的資本のポテンシャル曲線は、30代以降に急激に衰えていく。(中略)ほとんどのビジネスパーソンにとっては、「稼げる力」が企業が採用したいと思うエリアに未だ収まっている30代半ばくらいが転職のリミットになるということになる。ここを過ぎると、ポテンシャルもなくなる、歳相応の稼ぐ力もなくなるという二重苦で、おまけに厳しい日本の解雇規制によって労働市場がロックインされて人材が固定化されるという政策面からの三重苦まであるから動けなくなる。

 

ここですね、テストに出そう。

ただ「スキルアップ」「市場価値を意識」といったありがちな固定的観念を押し付けるわけではなく、ケースの中には、コンサルの激務がたたって健康を崩し、ワーク・ライフバランスを考えた転職をした人も紹介されていて、著者の偏りのないサンプル抽出に好感が持てた。
また、P202の「2007年が最後の売り手市場だった」という一言は、日経平均を見ている限り、リアル(過去10年間の日経平均株価は2007年を頂点としている)。

著者のインタビュー重視の姿勢からか、文系出身のケースと、著者が所属したコンサルティング業界に携わるケースが多く、偏りは見られるけれども、就職前にこういった「社会の先輩方が選択してきた道」を本書で知ることができて非常に良かったと思う。
最後に本書から、ドラッカーの言葉を引用すると、

私自身、成功していたことと、自らの価値観との違いに悩んだ。1930年代の半ば、ロンドンの投資銀行で働き、順風満帆だった。(中略)私にとって、価値有るものは金ではなく人だった。自分が金持ちになることにも価値を見いだせなかった。大恐慌のさなかにあって、他に仕事の目当てがあるわけではなかった。だが、私は辞めた。正しい行動だった。―『プロフェッショナルの条件』P.F.ドラッカー

 

経営の神様ですら、やりたい仕事と現在の仕事のGAPに悩む。それはある意味、凡人である僕に最も勇気を与えるメッセージかもしれないな、と思った。

 

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